1. 夜は深く、雨が降ろうとしていた。
2. この庭のどこかにミミの墓はあるはずだ。
3. ポケットで鈴が鳴る。
4. 夏休みが始まってまだ3日と経っていなかったが、僕は既に彼女に会いたくてたまらなかった。
5. 彼女の香水は強烈で、今も鼻の奥に残って離れない。

6. 月は臆病に震えていた。
7. あ。
8. 紫煙漂う店内に客は5人いた。
9. 海の見える所がいい。
10. 「今度はさ、落ち着いてどっか飯でも食いに行こう、な?」

11. 私物を全て取り払った四畳半の部屋は、実にあっけないものだった。
12. その金曜日は、一生よりも充実した一日だった。
13. 波は、どんな気持ちで岩にぶつかるのだろう。
14. 正直私は、彼が二十歳まで生きるとは思っていなかった。
15. 写真の中で、ひまわりはいつだって元気だ。

16. 背後から声がした。
17. 彼女のどこが好きかと聞かれたら、私は迷わずその薄桃色の頬だと答えるだろう。
18. お湯の沸く音で、ようやく彼は昨晩のことを思い出した。
19. 先生はクーラーが嫌いだ。
20. 歩道橋を渡ったところに、小さなポストがある。

21. エンドロールが始まると、妻は余韻に浸る間もなく直ぐに立ち上がった。
22. 透き通った歌声が、風のように広場を通り抜けていく。
23. ネオンの光が彼の足元に薄らと映っている。
24. 雪はその白さを太陽に主張していた。
25. 父が病院に運び込まれたころ、俺は居酒屋のトイレで髪型を整えていた。

26. 弟は牛乳が飲めない。
27. 苺の甘酸っぱさが、口の中でじゅわりとはじけた。
28. あなた、ハガキは届きましたか。
29. テレビの音が、まるで雑音だった。
30. 初めて彼女に会ったとき、脱がせ難そうな服だなと思った。

31. 母は、たとえそれが電車で5分の隣町であっても、必ず私にお土産を買って帰ってくる。
32. 余裕があればでいいのよと言われたが、それがほとんど命令だということを16歳の僕はさすがに理解していた。
33. 機体の下には一面の緑が広がっている。
34. 去年のクリスマス、ぼくは彼女と別れるつもりでいた。
35. 乗客の疎らなバスでは、皆自分の席を持っている。

36. 蝉が一匹、夜更かしをしているらしい。
37. 彼について私が知っていることは、神経質で、肌が白く、B型であるということだけだった。
38. 妹は、いわゆる天才だ。
39. 信号が何度も青になったころ、彼はようやく駅から現れた。
40. その家はとても平凡で、だからこそ、誰も見向きもしない。

41. 紅葉は真っ赤に燃え、水面にゆらめいていた。
42. 子どもたちの遊んでいる声が聞こえる。
43. 赤い風船は、少女に捕まって空へ飛び立てずにいた。
44. 私はずっとこの感情を自慢したかったのだ。
45. 額に汗が滲んでいる。

46. 久々に訪れた町は、まだその端っこに辛うじて明りを残していた。
47. 僕は外に行ったことがない。
48. 3色の虹は、澄み渡った空を横断すると、迷いなく彼女の頭上に落ちていった。
49. 日陰に吹く冷たい風が、全身の汗を瞬く間に冷やしていく。
50. 冬が、終わろうとしていた。